宗門の明日を考える会

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「宗門の明日を考える会」全国集会(総会)のご報告

    「宗門の明日を考える会」全国集会(総会)のご報告

 

 まだまだ風が冷たく大雪の便りも届きますが、関西では梅の香りが漂う季節となりました。皆様には日々お忙しいことと存じます。このたびは「宗門の明日を考える会」の活動にご賛同、ご参加をいただき、まことにありがとうございます。

先般、開催されました全国集会(総会)の報告を当日の進行に沿ってお届けいたします。

 2017年2月3日(金)14時より津村別院総会所において33名の出席を得て開催されました。はじめに発起人を代表して武田達城より以下のような挨拶がありました。

「職制変更によって基幹運動は同朋部に予算と人員が縮小され、やがて宗本分離とともに基幹運動が消滅し、実践運動と名称変更されました。基幹運動体制の時は、建議というシステムが有り、形だけでも組から教区へ、教区の声が教団へと届けることができましたが、今やそれがとても難しくなってしまいました。その危機感をもとに、このたび当会を発足することにしました。本日は寒さ厳しい中、遠近よりご参集くださいましてまことにありがとうございました。限られた時間ですが有意義な意見交換とたしかめができますことを願っています。どうぞよろしくお願い申しあげます。」

 次に議長に梯良彦が選出され、議案審議が始まりました。入会の意思を示す返信のあった会員数86名のうち、出席者33名、委任状38通で総会が成立したことが報告されました。

 

(1)設立趣意書について 

 設立趣意書(案)について武田達城より説明がなされました。さきの挨拶で表明した危機感のもと、「教団の構成員である門信徒、僧侶、坊守、住職などが忌憚なく意見を出し合い、必要であれば当局に対して提言をしていく場所を作ることが当会設立の目的であると説明し、趣意書(案)を読みあげ参加者からの意見を求めました。審議では活発な意見交換がなされました。①趣意書の文面に「類聚制度」を記すべき ②課題とすべき教学を語る中で「真俗二諦」の文字がないが、是非書き加えるべき その他表記の間違い、あるいは提案を受けました。それらの書き直しを事務局に一任され承認されました。

趣意書は別紙参照

 

(2)会則について 

 次に、当会の会則(案)について審議がなされました。安定した活動を行うには行事ごとのカンパ制ではなく、やはり会費制にすべきとの意見がありました。これに対して事務局より、3、4年活動を続け軌道に乗った時点で改めて会費制を議論したいと説明があり、了承されました。また、当会の名称である「宗門」という文言について、なぜ、「教団」ではなく「宗門」の文言を名称としたのか。基幹運動は一貫して「教団」という言葉で推進してきたはず。現在の本願寺は『宗門』という表現を使用することが多い。しかし、この言葉は江戸時代の『宗門改』にみられるように、権威主義的な言葉にとらえることができる。「宗門」というからには、敢えて相手の土俵で勝負することを確認しておくべき。との意見に対して、事務局から、「教団」は宗派を意味し「宗門」は本願寺や大谷家をさす場合が多いと考える。これから私たちが問題とするのは宗派・教団だけではなく大谷家をも含めた本願寺を相手にしていくと説明があり、「宗門」という名称を使いつつ、その旨を『趣意書』、『会則』の両方に明記すること、文言は事務局に一任することで了承されました。

会則は別紙参照

 

(3)代表選出・役員選出

大阪教区の武田達城と梯良彦が会員の推薦のもと、共同代表として選出されました。また、他の役員については共同代表に一任することが議決されました。

 

(4)「門主写真」に関する質問状と要望書送付の報告 

 「門主写真」に関するこれまでの活動報告が梯よりなされました。当局に対しては「門主写真配布」に関する質問状を送ったが、行事部長より個人的な電話で説明がなされようとしただけで、正式な文書による回答はなされませんでした。そのことを批判し、「門主の写真を掲げること」への教学上の説明を文書で求める要望書を総長宛てに送ったところ、先月24日に行事部長より文書で回答がなされました。しかし、その回答は「ご門主を中心に歩みを進める宗門として前例に倣ったものである」とし、その根拠が「宗制・宗法」という内容であり、当会が要望した「門主写真を掲げること」への教学上の説明もなされませんでした。

 

(5)「門主写真」返還にかかわる当会の対応について

 門主写真に関する次の行動として、当局に対して門主写真を返還することが提案され了承されました。時期は2月末から3月はじめにかけて伝灯奉告法要の後期がはじまるまでに。門主写真の返還を当会会員のみならず広く呼びかけ、返還に際しては武田・梯共同代表が返還の理由書を添えて手渡しにて当局に持っていくことが決定され、理由書の文面については事務局に一任となりました。

 

(6)今後の活動について

 引き続き、今後の具体的な活動について提案や審議がなされました。まず、会員内外のさまざまな意見をきくことができるシステムを考えていくことが急務であるとの認識が共有され、また文書の配布など総会以外の活動も活発に行っていくことが確認されました。

 

 

(7)記念講演  講師 神戸 修会員

 休憩のあと、大阪教区の神戸修会員より「西本願寺教団と民主主義」と題して記念講演がありました。要約すると、民主主義には「効率重視型」と「過程重視型」の二つのタイプがあり、権力者が一定の政策決定に「民主主義」を利用するのが「効率重視型」であり、いっぽう民衆が抗議的な活動も含めて積極的に関与していくことが「過程重視型」である。西本願寺教団は宗本分離以降、「効率重視型」に大きく舵を切ったのではないか。そして、その宗本分離の際にレトリックとして用いられた「国家組織との相違」という言葉は、じつは明治以降の教団民主化の要求をつぶすさいに用いられてきたレトリックであった。じっさいに最近の教団は「ポストモダン教学の復権」にみられる「自己批判の喪失」、公益性の過度な強調による「権力批判の喪失」、門主写真配布などに見られる「ご門主」を前面に出すことによって「統合機能を高めるための操作」を仕掛けるなど、「効率重視型の民主主義」の特徴が出ている。それに対抗するためには、小さな声でもそれを束ねるような「過程重視型」の組織が宗門内に必要であり、当会がその役割を担っていくのではないか、という内容で詳細な資料をまじえての講演がなされました。明治期、明如による法主公選制などの教団民主化の動きに対して、時の薩長閥、政府要人からの妨害があったことは興味深いことでした。

 

 以上、簡略ですが設立総会の報告といたします。今後とも当会の活動に参画、有縁の方々への拡散をお願い申しあげます。

                                                            合掌

2017年2月13日

宗門の明日を考える会

共同代表 武田 達城

      梯 良彦