宗門の明日を考える会

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「宗門の明日を考える会」第三回全国集会(総会)のご報告

                                                                                2019年5月8日

「宗門の明日を考える会」会員の皆様へ

                     宗門の明日を考える会

                     共同代表 武田 達城

                            梯 良彦

 

「宗門の明日を考える会」全国集会(総会)のご報告

 

若葉が萌える季節、関西では初夏の気配を感じるようになりました。皆様には日々お忙しいことと存じます。日頃は「宗門の明日を考える会」の活動にご参画くださいまして、まことにありがとうございます。

先般、開催されました全国集会(総会)の報告を当日の進行に沿ってお届けいたします。

 2019年4月11日(木)14時より津村別院総会所において42名の出席を得て開催されました。

 

はじめに共同代表の武田達城より以下の挨拶がありました。

 

「当会の発足は3年前に門主の写真が送られてきたことを、『おかしい』と思ったことがきっかけでした。『何がおかしいのか』『なぜおかしいのか』を考えていくと、写真を掲げることによってお金を集めることや、写真送付にかかった費用の妥当性、それに阿満利麿さんの言葉を借りれば『凡夫をいつまでも崇め奉ることのおかしさ』などがあきらかになってきました。また、本願寺新報以外のマスコミも、門主の継職法要のさいに、まるで門主が普通の人ではないかのような宣伝をしています。この会は、そのような現状の中で血統門主制について考えることを中心に活動しています。3年間で100名を超える方々が会員となりました。本日の研修会では、本願寺派の門主制が『ミニ天皇制』と呼ばれている現実を、近畿同朋運動推進協議会会長の藤本信隆さんにお話していただきます。本日はお忙しい中、遠近よりご参集くださいましてまことにありがとうございました。限られた時間ですが有意義な意見交換と確かめができますことを願っています。どうぞよろしくお願い申しあげます。」

 

 次に議長に梯良彦が選出され、議案審議が始まりました。会員数105名のうち、出席者42名、委任状36通で総会が成立したことが報告されました。

 

(1)役員選出の承認 

 議長より、大阪教区の福本群さんを役員会からの推薦により幹事に選出していただきたいとの提案があり、承認されました。下記リンクの役員名簿を参照ください。

 

(2)会計報告 

 次に、事務局長の槇塲清久より、2018年4月1日から2019年3月31日までの当会の収支報告がなされました。下記リンクの収支報告書を参照ください。

(3)会報発刊の報告

共同代表の武田達城より、会報『宗アス通信~檄(ふれぶみ)~』の発刊の報告が次のようにありました。

「先日、会員の皆様に会報の第一号をお届けいたしました。題名にある『檄』の文字は『ふれぶみ』と読み、あやまちを正して自分の意見を広めていくという意味があります。しっかりと批判すべきものは批判をし、声を上げ意見を言い続けていく。そんな願いを込めました。会員の皆様からは、さまざまな論考をいただき、まことにありがとうございました。それぞれが熱のこもった論考でしたが、とくに林史樹さんからは、宗派より出された『念仏者の生き方』に対して、貴重な視座を頂きました。これから、『念仏者の生き方』や『わたしたちの誓い』などがあらゆる場面で使われていくでしょうが、そのことに対して当会はきっちりとした視点をもって対応していきたいと思います。林さんに続く論考を期待しております。会員の皆様のご意見は、当会のメールアドレス(ashitanokai2017@gmail.com)までお寄せください。事務局で確認の上、これからも掲載してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」

 

(4)今後の活動について 

 会報やブログを含む今後の活動について、出席の皆様から意見がありました。

会報について

①門主制への疑問や、宗派から出されることへの論考がまとめられているものが必要と感じていたので、この会報を手にしてとてもうれしかった。紙媒体以外で、インターネットなどで広めていくような方法を検討してほしい。

②現在の会員への配布部数では少なく感じる。部数の追加請求に対応できるようにしてほしい。

③挿絵を工夫するなど、もう少し読みやすくしてほしい。

などの意見が出され、次回の会報の発刊のさいには検討されることとなりました。また、会報のほかに、会員以外の寺院も布教に利用できるような小冊子の発刊も検討することとなりました。

なお、会報は当会のブログ(http://ashitanokai2017.hateblo.jp/)よりダウンロードが可能であることが、議長より報告されました。

 当会の今後の活動への意見としては

①前年度に開催されなかった「門主制についての学習会」を少人数を対象にしてでも良いので開催してほしい。

②元号が替わるにあたって、「天皇制と門主制についての研修会」の開催を考えるべきではないか。

③研修会や会報の発刊も良いが、もっと具体的な行動で会の主張を示す方法を考えてほしい。

④総会の冒頭で今年度の行動計画を示してほしい。

⑤院号制度が教団の財政を支えている面がある。また、門主の権威を追認することにもつながっている。「院号」そのものを考えていくような運動も展開するべきではないか。

などの意見が出され、本年度の検討課題とされました。本報告書の末尾に「2019年度事業計画」を添付しておりますので、そちらも参照ください。

 

また、大阪教区選出の門徒宗会議員であり当会会員でもある山田敬之議員について、当会会員より以下のような報告がありました。

「前回の宗会のさいに、山田議員が『門主制は封建的な制度である』という旨の発言をし、今回の宗会において『門主制について詳しく教えて頂きたい』という主旨の質問を用意していたところ、宗会議長より山田議員の自宅に電話があり、『その質問はしないように』との要請があった。また、大阪選出の僧侶宗会議員からも『門主制について宗会で発言してはいけない』と言われ、質問を撤回せざるをえなかった。宗会の場でも門主制について質問をすることはタブーとなっている。」

以上の報告に対して、議長は「宗会において、議員が質問をすることさえ排除されるということは非常に問題である。しかし、このことこそが血統門主制の実態であり、当会としては厳しく考えていかなければならない課題である。山田議員のバックアップを考えながら、一緒に連帯をしていきたい。」と応えました。

 

(5)記念講演

 休憩のあと 近畿同朋運動推進協議会会長で当会会員である藤本信隆さんによる「同心円的な近現代の国家と教団~組織と意識~」と題した記念講演を開催いたしました。下記リンクの講演レジュメを参照ください。

 

 新元号制定と新天皇即位が大多数の日本国民から支持されている社会の状況と、本願寺派における門主継職後の教団の状況は極めて似ている。それは国家の論理である天皇制と、門主制を基本とする教団の組織が「同心円」的ともいうべき相似形であるからであろう。例えば、この会の発足のきっかけとなった門主の肖像写真を配布することは、戦前に国家が天皇の肖像を配り、それに額ずかせたこととつながっている。また、代替わりや死去の際に大規模な儀式を行うことによって権威づけを図る点も共通している。天皇は神道の、門主(法主)は仏教の宗教的権威の体現者である。そして、その宗教的権威を日本中に広めるために、天皇は行幸、門主は巡教という形で全国をまわる。

 天皇に連なる皇族や華族は、戦前の旧皇室典範において権威と血統が担保されており、差別を固定化していった。法主(大谷家)はその華族の九条家と婚姻関係を結び、僧侶華族となった。その後、皇族とも婚姻関係を結び、「上級華族」として国家の中枢に入り込むと華族の特権を享受した。華族となった大谷家は、教団の規則にも国家の組織を反映させた。「本願寺教団の皇室典範」ともいえる本願寺内範を制定すると、大谷家と血統がつながる僧侶を連枝とし、教団の運営は法主(大谷家)と、連枝で構成される連枝会が担った。また、連枝が住職を勤める寺院を別格別院・別格寺とし、さまざまな特権を与え、差別を固定化していった。

 

 国家(天皇家)と大谷家の強い結びつきは、明治天皇から大谷光瑞に宛てられた勅語や、大逆事件にさいして出された国家の思惑を代弁するかのような法主からの通達にも現れている。また、本願寺内範には大日本国憲法に類似する表現が多数みられる。このような歴史が、いまにまで続く門主制と天皇制の相似性の原点ではないだろうか。

 そして、このような差別的な組織を温存するために使われたのが「宿業」という考え方である。大谷光瑞は『見真大師』において、宿業論を悪平等論の展開のためにゆがめて利用し、当時の水平社運動を批判している。このように、国家と強く結びつき天皇の権威を利用してきたのが、私たちの教団の歴史である。

 近畿同朋運動推進協議会では、この2年間で血統意識が強く現れている「寺族」という言葉の差別性について議論をしている。宗門法規にも使用され、さまざまな場面でも使われ続けているこの言葉の使用には、注意をはらわなければならない。門主が交代した宗門の行く末=明日について、楽観視はできないと思う。このような過去の歴史について総括がなされていないからである。そして、私の中にもある抜きがたい血統意識についても考えながら、運動を進めていきたい。

 

 最後に当会幹事の小笠原正仁から「社会や教団内の同調圧力が強くなっている状況の中でおかしいことはおかしいと言い続けていくことが当会の目的である。」という挨拶で、全国集会(総会)を終了しました。総会のあと、35名が参加して懇親会が開催されました。全国から集まった会員が、それぞれの問題意識を活発に語り合い、にぎやかながらも和やかな懇親会となりました。

 

 

 以上、簡略ですが全国集会(総会)の報告といたします。なお、当会へのご意見などはメールアドレスashitanokai2017@gmail.comまでお寄せいただきますよう、お願い申しあげます。どうぞ、今後とも当会の活動への参画、有縁の方々への拡散を重ねてお願い申し上げます。 

合掌

 

 

 

 

 

 

  • 宗門の明日を考える会 2019年度事業計画

①門主制・天皇制などを考える研修会の実施(日時未定)

②『宗アス通信~檄(ふれぶみ)~』第二号の発刊(2020年2月予定)

③布教などで利用できる小冊子の発刊準備

 

以上 

 

2019年度役員名簿

19年役員名簿.docx - Google ドライブ

2018年度収支報告

宗門の明日を考える会 収支報告書 2018年度.xlsx - Google ドライブ

講演会レジュメ

2019年講演会レジュメ (1).pdf - Google ドライブ