宗門の明日を考える会

「宗門の明日を考える会」のブログです。

「宗門の明日を考える会」設立趣意書

     「宗門の明日を考える会」設立趣意書

 

 本日ここに私たちは「宗門の明日を考える会」を設立いたします。

お寺を取り巻く環境は日々厳しさを増しています。さらに、本願寺の宗派からの分離というショック以降、教団は少しずつ変化していることはさまざまに実感することです。まさに、その今、本願寺の位置づけをもその議論の課題として、「教団の明日」ではなく、「宗門の明日」という問題提起を致します。

宗門はどうあるべきか、多くの課題に対して、皆が話し合い、意見を出しあって方向を定めていくことが大切です。

それらの課題を以下に列挙します。

 

1.教団制度の問題

 これまでにもさまざまに問題点を指摘されているにもかかわらず、課題として明確に共有化されていない「院号」、「類聚」、「侍真」、「門主」などの制度について点検します。

2.お金の集め方と使い方

 現在の賦課制度は、算定基準の曖昧な「護持口数」と、現実とはかけ離れた「届け出門徒戸数」を基準としています。

構成員が公平感を持つことのできる集め方を明らかにし、教団が一致協力して進めるようなお金の配分の仕方について提案します。

3.一般寺院と過疎、過密の問題

 少子高齢化や都市部への人口流出により、地方の人口は減少の一途をたどり、地域社会は大きく変化しました。それとともに寺院の門信徒も減少し経済基盤が弱まり、解散に追い込まれる寺院も増えつつあります。

東京一極集中に迎合し、築地「別院」を「本願寺」としたことは、地方から流出する門信徒を囲いこんで、宗門だけが生き残ろうとする方策であるとの批判も出ています。

「お寺が元気に」と言いつつ、門主交代で多額の懇志を依頼していたのでは筋が通りません。このたびの宗会選挙で、ある門徒宗会議員の選挙公報に「大きな法要時の依頼金は押し付けないで下さい。本山だけで負担して下さい」とありました。

 お寺を必要とする門信徒の願いに応えることを最重要課題として、過疎・過密の問題への提起をしてまいります。

4.教学について

 教団内に、今なお存在する部落差別、ハンセン病差別、戦争責任などの歴史に向き合うことができない教学、「真俗二諦」を克服できない教学、「生死いづべき道」を問い聞いていくことと虚仮なる世間を糺していくことは無関係であるとしてきた誤った教学を改めていくことが求められています。

 これらの問題とともに、私たちの直面する現実から逃げず、それぞれの現場からの問題提起を受け止め、共有化し、教学への昇華を支援してまいります。

5.現実社会に対する発言の消極性

 平和問題あるいは、原発問題をはじめとする喫緊の課題がありながら、教団としての意思表明は消極的です。

 門信徒に対して、現実の社会問題を無視させたり、あるいは、思考放棄をさせたりすることが教団の役割ではありません。

 社会と向き合う念仏者の姿を示し、教団内外に対して、明確な態度表明が求められています。

 教団の積極的な意思表明のために、さまざまな意見を集約・提起してまいります。

6.宗本分離についての点検と総括

 教団の経済的危機を解決するために、門主権への制限という改革を歴史的一歩として刻んだはずの私たちは、その状況に再び回帰する事態になり、門主の代替わりを新しい制度の下で迎えました。

 今このときにこそ、このような大きな制度変更についての点検と総括が必要と考えます。次代を担う人々へ、よりよい宗門の明日を受け渡すためにも。

7.意見の集約・共有

 宗会は、門信徒僧侶の意見を吸い上げていく大切な機関であることは言うまでもありません。しかし限られた数の宗会議員が多くの意見を聞き、宗会に提言していくことは容易ではないでしょう。

聖徳太子憲法十七条の最後には、「それ事(こと)、独(ひと)り断(さだ)むべからず、かならず衆(もろもろ)とよく論(あげつら)ふべし。少(いささ)けき事(すべ)はこれ軽(かるがる)しく、かならずしも衆(もろもろ)とすべからず。ただ大(おおい)いなる事(こと)を論(あげつら)ふに逮(およ)んでは、もしは失(あやま)りあること疑(うたが)はしきときあり、故(ゆえ)に衆(もろもろ)とあひ弁(わきま)ふるときは辞(こと)すなはち理(ことわり)を得(う)」とあります。

些細なことなら委員会あたりで決めてもかまいませんが、大事なことはみんなで話し合って決めなさいと言われます。

教団の構成員である門信徒、僧侶、坊守、住職として意見を述べ、提言をする場として「宗門の明日を考える会」を設立いたします。

 

 

当会は、会員の意見を集約し、必要があれば宗派当局に対して要求をしていく活動をします。多くの方々の参画を期待いたします。

                                                            以上

2017年2月3日